コヤマングローバルの日記

うつで入院も経験し約3年の休職後、2015年6月から復職。仕事にプライベートに充実していましたが、2021年に再発本格化し現在2度目の長期休職中。うつとよりそいながらの日記や社会・政治・経済・書評・スポーツなど諸々のことを思うままにアップします。

「荒木飛呂彦の漫画術」

1年半ぐらい前だったかな、本が読めなくて、まだ漫画ならなんとか読めるって時に、「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズ、3部から6部を、順番にTSUTAYAで借りてきて、らんらんと目がさえてる夜中に、読んでました。

読んでいて、よくこんな沢山のスタンドを思いつくなあと思ったのと、ストーリーの奇想天外さ(&長い)と、脈々と続くジョースター家の家系に感心させられました。

 

今年の4月に「荒木飛呂彦の漫画術」がでて、すぐ買って読みました。

昨日の日曜日、池袋のリブロに行って良さげな本はないか眺めていたら、この本が沢山平積みされていて、ランキング(総合ではなくて新書かな)3位に入ってました。

 

荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)

荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)

 

 荒木さん曰く、

この本の読者には「漫画を描きたい」というごく少数の人たちを想定することになってしまいます。ここに、書かれていることを読んで本当に漫画家になるのは数人かもしれないし、もしかしたら、たったひとりいるかどうか。<略>それでも、そのたったひとりのために、この本を書きたいと思います。 

 ターゲットは漫画家志望向けに書いたもののはずなのに、ベストセラーになっています。ただ、併せて荒木さんが冒頭に、「ただし、(略)漫画に限らず、もっと普遍的なハウツーであるようにも思います」と書いています。ジョジョの漫画ハウツーだけでなく、自分の仕事や生活に活かせそうという評判が出て、売れてきたんだと思います。

◆◆◆

  • 最初の1ページが肝心
  • 基本四大構造、重要順で、「キャラ」「ストーリー」「世界観」「テーマ」
  • プラス「絵」プラス「言葉」
  • 「キャラクター」と「世界観」は欠かせない
  • 「キャラクター」作成にはキャラの行動の「動機」をつくる
  • 「キャラクター」作成には身上調査書(要は履歴書)を必ず作る(60項目!)
  • 名前の作成もかなりの注意が必要
  • 漫画ではストーリーが邪魔になることがある。キャラが動かなくなる
  • ストーリーが中心の漫画は王道とは言えない
  • ストーリーは最初につくらない
  • キャラ設定と困難な状況設定から、主人公が勝手に動いていく→ストーリーに
  • 「絵」は超重要項目
  • 世界観を表現するには徹底的なリサーチ、でも全部は描かない
  • 「基本四大構造」をつなぐ「テーマ」。「ジョジョ」のは「人間賛歌」

◆◆◆

私の場合、以前、数回ダンス・パーティーを企画したことがあったのですが、どうせやるならオリジナルなものをやりたいと思い、テーマ、メッセージ、シンボルマーク等をとことん考えて臨みました。ありていのパーティーよりは深みが出たんじゃないかと自負してますが、この本の内容に沿って考えると、あら不思議?、基本四大構造のいくつかを抑えてたことになっています。

私たち一般の人たちの使い方としては、シンポジウム、セミナー、セッションの企画、プレゼの骨格作り、に際して参考になるんじゃないかと思いました。

 

意外だったのは、ストーリーが一番重要じゃなかった点。映画になりますが、ロバート・デ・ニーロは「script(脚本)が出演を判断するうえで最も重要」と言っていました。私も(少なくとも映画では)そう思います。手塚治虫さんは、量・質と共に他の方々を圧倒する作品を生み出して来られた天才ですが、やはりストーリーとテーマを一番重要視されていたと思います。キャラ設定と設定作りでストーリーが生まれてくる、という捉え方は、人気が出れば終わるのがいつになるか決まっていない少年漫画誌ゆえ(一時期のジャンプは、人気が出れば、延々と続けていた)ではないかと感じました。

反面、一本の漫画を描くのにここまで考え抜いて描いていたとは正直驚きでした。小説家は「キャラ」「ストーリー」「世界観」「テーマ」を練り上げて、書いていけばいいでしょうが、漫画家はその上で最も時間がかかる「絵」を描かねばならないです。知力、画力、体力が求められる重労働ですね。売れる漫画家以外では、かかった時間に対して得られるお金はほんのわずか、、、もっと財政的な向上を図ってあげたいと強く感じました。

 

 

 荒木さんがデビュー前後支えとなった「地図」。今でも時々読み返してるとのこと。

定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー

定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー

 

 

ではでは。